ところで、タイ=カンボジア国際鉄道 走ってるの?

                           

2019年05月27日

「45年ぶりにタイ=」カンボジア直通鉄道が開通!」といった<見出し>が躍ったが

「タイ・カンボジア間、鉄道開通45年ぶり 域内分業活発に」(日経新聞) 「タイ~カンボジア間の国際鉄道、4月22日に開通式 54年ぶりの再開」(アジアトラベルノート)「カンボジアとタイ間の鉄道開通、物流コスト低下」(JETO ビジネス短信)といった見出しの報道が、4月22日調印・開通式が行われたが、どうやら未だに運行していないようだ。旅情報のWebサイトでは、開通があたかも運行開始の如く書かれていたり、日経やJETOも単に鉄道開通の期待表明の記事に過ぎない、というのが事実に近い。

開通式6日後の28日には、運行は中国頼みに!

開通式6日後の28日、中国メディアの<観察者網>は、「カンボジアの鉄道は時速わずか30キロだ」とし、「首相が中国に援助を求めた」と報じている。中国・北京を訪問しているフン・セン首相は28日、中国の国家指導者と会談後、国有鉄道運営会社の中国鉄路総公司や通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)など経済界の代表者とも懇談し、その席で「中国鉄路総公司がガンボジア王立鉄道と鉄道開発で協力し、カンボジアの列車の運行速度を速めてくれることを望んでいる」と述べたという。
さらに記事では、「カンボジアの鉄道は時速わずか30キロだ。カンボジアとタイを結ぶ鉄道は正式に開通したが、さまざまな原因により、首都プノンペンとポイペトを結ぶ路線はまだ運休状態にある」と報じている。

フンセン首相が嘆いた「カンボジアの鉄道時速30㌔」だが…

既にカンボジアで鉄道運航が行われているのは、南線のプノンペン=カンポット=シハヌークビル、空港線(既存の南線から空港への引き込み線)、北線(プノンペン=バッタンバン=ポイペト➡タイ・アランヤプラヤートの線路は4月21日時点の連結だが)バッタバン=ポイペト間で一部運行で、それ以上の運行情報はない。カンボジアのメディアは御用メディアであり(他国のメディア報道も現地取材や裏取り取材のない報道も多々ある。)、政府の公式情報以外のマイナス情報は掲載されない。公式には、タイ=カンボジア鉄道の調印=開通式以外、5月27日現在、国境を超える鉄道の運行は報道されていない。

また、フンセン首相が嘆いた「鉄道時速30㌔」だが、事実は最高速度30㌔である。上記の運行も1日1回。南線では1日がかりの旅となる。既に起工式が行われたカンボジア初のプノンペン=シハヌークビルの高速道路が開通すれば、その間は車で3時間弱になるのは確実で鉄道運行の経済効果は極めて限定的で、鉄道運行が用済みになってしまう怖れがある。

これが空港鉄道。工事中の写真。
プノンペン空港駅ホーム
プノンペン都内に入る空港線。空港線といっても路面電車のレベルである。

カンボジア国有鉄道は、その経営や鉄道整備、運行もオーストラリア企業に委託業務である。プノンペン国際空港ターミナル前に野外レストラン横に空港線の「レールステーション」という看板があるが、その施設は日本のひと昔前の「遊園地鉄道」レベルである。

2018年、シソホン=バッタンバン開通1週間で事故が起きる。

フンセン首相の一言で、諸外国並みの鉄道運行が始まるか

…現状:経済効果は画餅に化す…

一党独裁の感のあるカンボジア、フンセン首相の一言は大きい。中国の<観察者網>の報道によるならば、オーストラリア企業任せの鉄道運営を中国企業に委ねるということか。中国訪問の同首相発言であれば、その可能性が強い。4月22日前後にメディアの見出しに踊った日経やJETROの期待表明は、その後の運行情報もないところから、「絵に描いた餅」と振出にもどった感がある。本格的な中国支援やミャンマー・ヤンゴンの円借款のようなプロジェクトでなければ、南線や空港線同様に単に「運行してます」というに過ぎない。

*参照:カンボジアの鉄道事情については、下記の①~⑥の文をクリックしてください。

① シソポン―バッタンバン間の鉄道が開通する

② プノンペン、空港への鉄道運行が始まる

③ シソポン―バッタンバン間の鉄道が開通する

④ ポイペトーシソポン間の新鉄道、開業3週間で事故相次ぐ

⑤ ポイペット・プノンペン鉄道線、ポイペト―ポーサット間の試験運行を実施中

⑥ プノンペンからタイ国境越え鉄道が4月末、開通へ

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