地元紙(Khmer Times)が「5月7日に国道3号線の拡張工事がはじまった」と報じた。

国道3号線は、首都プノンペンからカンポット市を経てプノンボコールの南山麓を海沿いに回り込みプノンペンとシハヌークビルを結ぶ国道4号線につながる。拡張工事は中国政府から2億ドルの融資を受け、2年間かけて改築と拡張工事に取り組むという。総事業費は約2億米ドル(約220億円)超、中国が大半を融資しカンボジア政府も資金を拠出する。
中国の一帯一路構想の具現化か-カンポットは第2のシハヌークビルになるか-

フン・セン首相は記念式典で、「国道3号線は、特に観光客の移動と物資輸送の面で、最も重要な道路の1つとなるだろう。カンポットからプノンペンまで塩を運ぶなど、シアヌークビルの深海港への輸送を容易にする。」「「中国はカンボジアのインフラ開発に大きく貢献している」と述べたという。また、「カンポット州は塩やコショウの主要生産地として知られているおり、道路改修後は、これらの生産品を迅速に届ける輸送インフラなどが整う見込み」などと地元紙は伝えているが、それは実に皮相的な見方のようだ。既にプノンペンとカンボジア唯一の外港を持つシハヌークビルを結ぶ国道4号線に並行してカンボジア初の高速道路が中国の融資で着工されており、昨年12月31日のロイターの記事「シハヌークビルは第2のマカオか」が大きな話題となったように中国化が著しい。ここに来て、国道3号線の中国融資による国道3号線の拡張工事、まさに中国の掲げる「一帯一路」構想の具現化と見るべきであろう。既にカンポットでは、コンポンバイ河口の中州や海岸線は土地の高騰が起こり、中州の大半は造成地と化しそこに人工港ができるという。地元民の間では「カンポットも中国化されるだろう。」という見方を語っている。胡椒産地といってもベトナム+1に過ぎず、また塩田の大半は入浜式(江戸・明治期の瀬戸内地方のレベル)というものである。経済効果は人工港を通じた貿易と結びついて意味がある。


カンボジアの今、中国の存在感が強まる
カンボジアでは、中国の道路インフラ支援は、現在までに完成・工事中を含め約35案件、約2,900キロ分に及ぶ。累計支援額は約21億米ドルに達している、という。ラオスでは中国から首都ビエンチャンを結ぶ中国支援の鉄道工事が始まり、さらにタイではビエンチャンとメコン川を挟んで向きあうノンカイから首都バンコク間の高速鉄道は中国方式で受注していう。これぜまさに1帯一路の構想の具現化である。カンボジアでは、日本がインフラ支援では先鞭をつけているが、ここ数年で案件や費用では中国に大きくひきはなされている。
参照:下記の文1.2.をクリックしてください。
2.奔流(龍)シハヌークビルを洗う-止めどもない中国の勢い-