成長への重い足枷ー腐敗と人材の質ーASEAN諸国最下位を更新

                           

2019年02月09日

このほど、カンボジアの成長力の指標となる―腐敗認識指数、 世界人材競争力指数の2つが発表された。

2018年の腐敗認識指数 カンボジアはASEAN最下位

地元紙Khmer Timesが報じるところによれば、カンボジアは2018年の腐敗認識指数を前年から1ポイント下げ、ランキングは調査対象180カ国中161カ国位(前年と同位)と、ASEAN諸国では最低になった。

腐敗認識指数(Corruption Pereption Index;CPI)は、トランスペアレンシー・インターナショナル(TI)が1995年以来毎年公表しているもので、世界の公務員と政治家が、どの程度汚職していると認識されるかを0から100で数値化し、ランキングにしている。数字が高いほど「清潔度が高い」となる。カンボジアは20点で世界161位とし、「非常に腐敗している」とランク付けした。また、過去数年間、メディアや市民団体などが汚職に対する監視機関として機能できなかったことも指摘している。

清潔度トップの国はデンマークの88点で、2位はニュージーランドの87点、3位はシンガポールの85点で2017年の6位から上昇した。その他の国では、日本が73で18位。米国は71点で22位。韓国は57点で45位。中国は39点で87位。北朝鮮は14点で176位などである。この腐敗認識指数は、毎年、前年度の調査結果が発表され、調査国が増えるに従いカンボジアは清潔度の順位を落としている。もう10年前ほどになるが、白い手を描いた汚職撲滅のポスター看板をカンボジアの地方役所の付近に見られたが、が、いつの間にか消えた。

なお、TIカンボジアのエグゼクティブダイレクターは、「カンボジアは民主主義と汚職問題に関して基本的かつ構造的な改革を急ぐ必要がある」と述べ、同機構の理事長も、「政治的な腐敗が適切に対処されなければ、カンボジアの社会的不公正と開発リスクを生み出し続ける」と述べている。が、カンボジア政府広報官は、TIの報告について、「カンボジアの現実を誤解している」と述べ、「汚職との闘いにおいて正しいことをしている。外国人投資家からの信頼を得ており、政府はその成果を通じて透明性と説明責任が向上したことを証明した」としらっと述べているが、述べている本人もカンボジアの国民のほとんどが、腐敗が改善されていると思っている者はいないであろう。ちなみに本記事の画像にある警官の腐敗では、長く在カンボジア日本大使館からの注意喚起や安全情報では、「警察の信頼度が著しく低い」とあり、ツーリストポリスに犯罪被害を届け、被害届の書類づくりに手数料を要求されるのも日常的である。これは、あらゆる役所の公的文書の取得にも見られる。手数料表記がないことから、国民からは不正と思われている。

ちなみにカンボジアの清潔度ASEAN最下位は、3年連続更新である。「虎もハエも同時に叩く」と称された習近平の反腐敗闘争は2018年に「圧勝した」と宣言された中国だが、1995年の時点で、中国の腐敗認識指数(CPI:Corruption Perceptions Index)は41か国・地域中最下位のインドネシア(1.94)に次ぐ透明性(2.16、最高値は10)の低さであった。2015年における中国のCPIは37(最高値は100、調査対象168か国・地域中第83位)とされ、ベナン、コロンビア、リベリア、スリランカと並ぶ腐敗レベル、そして2018年39点87位となっている。改善はされつつあるが、習近平の腐敗に「圧勝した」とは、ほど遠い腐敗体質が根強いというのが、実情に近い。そのためか、筆者はつい先日のプノンペン空港、入国審査で前に並ぶ中国人中年女性のパスポートには1㌦札が挟まれ、当然の如く係官に手渡されたのを目撃した。。

2018年の世界人材競争力指数もASEAN諸国最下位

都市部に乱立するInternatinal, Universityを冠する私立学校。それでも公立よりは、地元で評価が高い。 画像:地元ニュースサイトより

次に発表された2019年の人材競争力指数、カンボジアは107位と昨年より順位を1つ上げたというが、これまたASEAN諸国最下位であった。(ASEAN POST報道)

この指数はスイスに本部を置く人材サービス会社・アデコグループやインシアード(INSEAD)などが、世界125カ国を対象に行った国際調査(Global Talent Competitiveness Index)を基にまとめたもので人材の育成や獲得、維持について各国をランク付けを行っている。

1~10位はスイス、シンガポール、米国、ノルウェー、デンマーク、フィンランド、スウェーデン、ニュージーランド、英国、ルクセンブルク。日本は前年と変わらず22位、中国は前年の54位から45位に上昇した。ASEAN諸国では、シンガポール2位、マレーシア27位、フィリピン58位、タイ66位、インドネシア67位、ラオス91位、ベトナム92位(ミャンマーは調査対象外)そしてカンボジア107位。このランキングでは、ミャンマーは調査に含まれていない。

シンガポールのようなより先進的な国は避けることのできない第4次産業革命(インダストリー4.0)を通過することができるが、農業や縫製業に大きく依存するカンボジアはより困難な課題に直面していると言えよう。カンボジアの切り札ともいえる比較的人口の多い若者は、国連人口基金(UNFPA)の最新の統計によると、カンボジアの人口の20.6%は15~24歳で構成されており、国連開発計画(UNDP)カンボジア担当責任者のニック・ベレスフォード氏は、「カンボジアの若者は創造的で起業家精神があり、熱心で適応力と学習力がある」と述べているが、同指数は、カンボジアの青少年の現状について実に悲観的な結果を示しいる。カンボジアの最も大きな弱点として、才能の成長、職業的および技術的スキル、グローバルな知識スキルにあると同調査ランキングは指摘している。

ちなみにカンボジアは、才能の成長で111位から119位に、職業上および技術上のスキルでは113位から119位に、グローバルな知識スキルでは113位から117位と前年と比較し下落した。2005-10年当時、発表統計上は、85%の識字率であるが、これも自己申告で名前は書けるが、クメール語の絵本も読めない小学3-4年生が珍しくないという識字率であった。また、2005年当時、小学校課程から中・高校課程へ進む(小学校卒業資格を得た)者が小学校入学者の15%以下、プノンペンでは、自称インターナショナルスクールが乱立しているが、要は英語授業が小学校段階から授業がある私立学校に過ぎない。地方の公立では公式6年制度の小学校だが、教室が6つ未満の小学校も多く見かける。この2月の現地Khmer Timesの報道「カンボジアの教育部門の汚職は大きく改善」の見出し記事では、カンボジア高等協会教育(Cambodian Higher Education Association=CHEA)は、2013年に始まった教育省による一連の改革により、教育部門の腐敗はほぼ完全に根絶されたと主張した。事実、改革に乗り出す際、教育省大臣がテレビで不正防止を強く訴え、その年の高校卒業認定試験(大学入学資格試験)を厳正に行った結果、前年合格者92%が、25%に激減し、1か月後の再試験での救済処置がとられたほどの腐敗を背景とした驚くべき「学力の低さ」であった。

*掲載画像:賄賂を受け取った警察官。昨年10月、中国化著しいシハヌークビルで中国人ドライバーから賄賂を受け取った3人の交通警察官を処罰されている。シートベルトをせず運転していた中国人ドライバーに、取締り報告をしない代わりに100ドルを支払うよう要求した。フェイスブックの動画により明らかになった。「このようなことは、決して一回だけではない。交渉し、賄賂を受け取ったことがある」と述べているという。 画像:Khmer Timesより。

Follow me!

インドシナ3国、タイ、ミャンマーへのご旅行をお考えの方は

New Sai Travel