菅首相の初外遊先を見送った友好国・タイの政情不安
昨日で終わった菅首相の初外遊は、ベトナム、インドネシアであったが、長く友好国で日本企業の進出の多い東南アジアの雄「タイ」は当然、初外遊先と検討された国だが、国民の間に実質軍事政権のプラユット政権への反感が高まり、先週から連日ゲリラ的な無届集会やデモが首都バンコクで起っているように政局不安が増し、やむなく初外遊先から外された。また、長く非常事態宣言が延長されているが、これがコロナ対策を理由に反政府運動を抑圧するための手立てと国民の多くが受け取っている。
そんな政情不安のなか、7か月ぶりにタイは外国人観光客を受け入れた。それも昨年末までは、タイ各地の観光地を席巻した中国人たちである。
ここ20年、中国と軍事独裁や強権支配の途上国と親和性が良い。その意味でも、先ずは中国から観光客受け入れというのもタイの政情から象徴的である。タイ政府観光庁の公式HPを見れば、観光庁としては早く「観光立国タイ」を復活させたいという努力を続けているが、こと外国人受け入れに関する入国制限の緩和はこの3か月、プラユット政権は朝令暮改を繰り返していた。
*動画:10月21日 NHKニュースより
先ずは中国、2週間隔離付きの特別ビザでも、中国人はやってくる
この20日、タイでは、感染リスクの低い一部の国や地域に限定して、7か月ぶりに受け入れを再開しました。外国人観光客は4月以降ゼロが続き、主要産業の観光業が大きな打撃を受けていることからタイ政府は、限定的に受け入れを再開しました。先ずは、中国からである。20日は、特別ビザの発行が認められた中国からのおよそ40人がバンコク近郊の空港に到着した。
ただ、入国が認められるのは感染リスクが低い一部の国や地域に限られるうえ、2週間の隔離が義務づけられていて、観光客は荷物の消毒を受けたあと、専用のバスで隔離先に向かい、2週間の隔離生活が待っている。それでも来るか、といった条件だが、中国人はやって来た。
日本は特別ビザの対象外
なお、日本も現状は国内感染が常態化し、毎日数百人台の市中感染が確認されている現状観光目的の2週間隔離付きの特別ビザの発行の対象国とはなっていない。
ヨーロッパなどでは移動制限の緩和後に感染が再び拡大した国もあり、感染を防ぎながらどう観光業を支えるかが各国共通の課題となっており、観光も厳しい条件付きの限定的なものが続きそうである。