<ちょっとあきれた話題> ラタナキリ州軍警察の司令官を異例のスピード解雇

カンボジア

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2019年02月12日

このほど国内紙:Khmer Timesは、不正の疑惑によりラタナキリ州軍警察の司令官、キム・リャクスメイ氏が解雇された、と報じた。

自宅パーティーで5人の子どもに10万㌦づつ配る

―出席者がfacebookにアップー

記事によれば、6日、キム元司令官が豪華な自宅の中で誕生日祝いを行った際、5人の子供たちに一人10万ドル(時価1100万円)づつ、合計50万ドルを配っていた光景を、パーティー出席者がフェイスブックにその様子をビデオ投稿したため、多くのフェイスブックユーザーによって、疑惑と批判のコメントと併せて拡散された。フン・セン首相は、サオ・ソカ国家警察総司令官とティア・バニュ国防大臣と通じてキム氏は解雇されると発表し、9日、ノロドム・シハモニ国王による王国令を出した。反汚職ユニット委員長のオム・イエンティエン氏によると、今後、キム氏に対する疑惑を調査するという。

人前でお金配り、物配りが大好きなカンボジアの権力者や富裕者(かつてはNGOがこれ見よがしに!)、SNS時代に思わぬ落とし穴があった。

カンボジア語でネアック・ミエン(ネアックは人の二人称。物持ち、お金持ち)、ネアック・トム(直訳:大きな人、つまりはお偉いさん)だが、上記の報道は、「お偉いさんはお金持ち」となる。この件は、国内テレビでも報道されて多くのカンボジア人に知られた。さすが、人前で子ども一人当たり10万㌦配りは、それを可能にするすさまじい蓄財に想像以上の驚きだったようだ。多くのカンボジア人から「何を言ったて無駄よ。」といった言葉が返って来る。facebookで多くの人に知れ渡り、慌てて政府が処分した、というのが、真相に近い。

2000年代、カンボジア人NGOの代表は言う。「物を配らなきゃ、カンボジア人は誰も集まりません。」事実、NGOの式典や首相演説、政権党の集会では、かならず参加者に物配りが行われる。これは、参加する人が卑しいのではなく、多くの参加者が動員だからである。物配り、お金配りを人前でするのは自己の権威付けとお偉いさんが思っているからである。NGOの動画PRにもこの物配りの光景はよく見られる。

辺境のラタナキリ州で50万㌦、なら・・・

他の州や国家なら、と誰しもが想像する腐敗のすさまじさ

ラタナキリ州都バンルンも市場帰りの少数民族の親子、背負い籠がその特徴的な姿。同州では、カンボジアの95%を占めるクメール族は少数派で、後から移住してきた者か役人たち。2000年代、州都バンルンの街中も未舗装の道だった。
ラタナキリ州にはフランス統治時代からのゴム・プランテーションや宝石採掘の高山がある。近年、ベトナム資本の進出が見られ、コーヒー栽培もおこなわれているが、収穫の多くはベトナム産コーヒーの名で輸出されている。写真:州都バンルン郊外のゴム・プランテーション(熱帯単一商品作物農園)

途上国優遇の特恵関税、カンボジアへのEUの廃止プロセスが始まる

各国からの独裁政権批判の高まり、またEUでは、「カンボジアは、世界の最貧国が武器を除くあらゆる物品を関税なしでブロックに売却することを可能にする、EUの<武器以外のすべて>(EBA)貿易体制から恩恵を停止する」(特恵関税の停止)プロセスの開始を2月12日に発表しました。カンボジア政権や国内メディア報道は、EUの処置に「たいした影響はない」といった強気の観測を流しているが、安価な労働力に支えられた外資の繊維、靴等の日用品輸出が打撃を受けることは必定、内実はこの経済制裁に政権や企業は戦々恐々としてうるのが実情ではないか。

世界の最貧国に位置づけられるカンボジア、この総計50万㌦配りは国民にとっては、想像を絶する腐敗の一角と受けとったようだ。報道で知った多くの人の驚き、あきれ、憤慨!そして羨望も混じった溜息とあきらめだったようだ。それ故の首相のスピード解雇発表である、反腐敗ユニットの声明である。

誰も想う。辺境ラタナキリ州がこれだから、他はいかほどに・・・

カンボジア辺境のラタナキリ州(住民の7割弱を少数民族が占め、ここではクメール族少数派)の警察司令官さえ、子ども5人に一人当たり10万ドル配れるのだから、主要都市や国際観光地を含む州を管轄する警察の司令官なら、国家を管轄する者(政権幹部たち)なら、いかほどのなるのか?と改めて想像するに違いない。

参照:2018年 カンボジア:一人当たりの国民所得:年1500㌦余。

スピード解任に見られる政権の過敏な反応

ー国内メディアは検閲下の報道のみ―

フンセン政権の異例な急スピードのラタナキリ州警察司令官の解任は、国民の想像力や反感にたいする過敏な反応である。1992年以来のその地位にあるフンセン首相は、国際社会や野党からの批判にその都度、反論し、傍目にも過敏な反応とさえ映る。が、独裁と腐敗の批判を浴びせ続けられたきた政権としては、これが危機管理なのであろう。カンボジアでは、追放されたフリーエイジア(Free Asia Redio)、廃紙に追い込まれたカンボジアデイリー、プノンペンポストの華僑資本による買収、国内メディアの報道は政権の眼鏡にかなった情報だけである。

*参照:Khmer Timesの記事に出てくる「反汚職ユニット」だが、独立団体ではない。政権肝いりの御用団体である。なお、同団体は2014年に財団法人 国際協力センターの「21世紀東アジア青少年大交流計画プロジェクトの一環事業で訪日している。

*参照:掲載写真はカンボジア国内紙Khmer Times の同記事掲載の写真より

*参照:下記の①~④の文をクリックしてください。

① 成長への重い足枷ー腐敗と人材の質ーASEAN諸国最下位を更新

② フン・セン政権、国家再建の塔完成を祝す

③ 禁止された反対運動と目覚めた若者たち ―カンボジア首相が見る夢-

④ PDF カンボジア反汚職ユニット訪日団-報告書  一般財団法人 日本国際協力センター

 

 

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